先日、第13回昆虫病理研究会シンポジウムで学生優秀発表賞を受賞した学部4年生の畑中くんと、修士1年の石倉さんの記事が十勝毎日新聞に掲載されました。
昆虫病理研究会シンポジウムは、1994年から始まり、2年に1度リトリート形式で昆虫病理学に関する研究成果を報告する場として26年にわたり続く学会です。今回の発表では研究内容の独創性や質疑応答への対応などが高く評価され、学部の部で4年生の畑中さんが、修士の部で1年生の石倉さんが受賞者に選ばれました。 畑中くんの演題は「病原力の異なるBeauveria bassiana 2系統を用いたハマダラカ体内での感染動態の比較」で、病原力の異なる昆虫寄生菌のハマダラカ体内での感染動態を観察し、宿主免疫反応の打破の如何によって病原力に差が生じることを明らかにしました。今後はこの差を詳細に解析することにより、宿主の免疫を掻い潜る昆虫寄生菌の新たな殺虫メカニズムの解明が期待されます。また、石倉さんの演題は「タバココナジラミ卵の成熟度合が昆虫寄生菌Lecanicillium spp.の感染に与える影響」で、これまで昆虫寄生菌のLecanicillium属菌がコナジラミ卵に感染して殺卵することを明らかにしてきましたが、オンシツコナジラミ とタバココナジラミ間で感染性が異なる現象が見られました。そこで、タバココナジラミ卵の成熟度合と菌の感染性を比較したところ、未成熟卵は成熟卵に比べて菌の感染を受けやすいことを明らかにしました。これらの研究によって、特にコナジラミ卵を標的に昆虫寄生菌を施用する際は、予防的防除技術が有効である可能性が示されました。